第30回研究会:2024年12月16日
 
加納 裕二さん:
海を観測して、自然災害や地球温暖化を考えてみよう
12名参加のもと、元気象研究所長の加納さんに、まず、気象の観測や予報の歴史、外洋の観測と海洋の循環(熱塩循環)についてレビュー戴いた。その後、メインテーマとして、
*大気と海洋におけるCO2の観測方法とCO2の循環、
*大気と海洋のCO2交換
*海洋における炭酸物質のふるまい、
*海洋はCO2をどの程度吸収するか? 
*サンゴなどの増殖促進は大気中CO2吸収に役立つか?
などについて最新の知見を紹介戴き、議論を深めた。
 
 
第29回研究会:2024年10月23日
 
上原 一浩さん:
「脱炭素とそのための方策」
11名の参加のもと、NIRO上原さんから科学的に疑いのない地球温暖化問題の実像をリマインドした上で、善処策としての、地熱発電やDACS(大気炭酸ガス回収)技術の現状を丁寧に紹介戴いた。このままでは、迫る崖っぷち年(2030)まで、あと数年しか残されていない事実に驚愕し、それまでに行動様式を脱炭素に向けて変える必要があること、欧米ではその問題意識高く、炭素債権/税として、再生エネ推進~炭素固定への還流投資が行われているが、日本は全く低調なこと、に再認識した。
質疑では、地熱発電について、日本は世界3位の地熱資源国にも関わらず、海外に比べ利用が非常に低調な社会的、技術的背景について議論した。また、DACSの大電力コストとスケーラビリティ、海水からの炭酸ガス回収等についても意見交換戴いた。
 
第28回研究会:2024年7月31日
 
大西 文秀さん:
「ヒト自然系からの未来警鐘 -ヒトと自然の関係・流域圏の環境容量を探る-」
ヒトと自然の関係を振り返り、CO2固定容量、クーリング容量、生活容量、水資源容量、木材資源容量の5指標から私たちの住む環境を再考した。また、GIS(地理情報システム)にマッピングする形で、都道府県市町村の行政単位だけでなく、河川流域という自然空間単位から、日本の環境容量を俯瞰した。そして、未来への警鐘を受けとめ、未来可能性を高めるヒントを探ってもらった。
これまでの公害対策などローカルな改善活動に対し、地球温暖化ではCO2の拡散も早く、よりグローバルな活動が求められる。環境容量という包括的かつ定量的な指標を国際的な共通言語に育てていく可能性についても議論戴いた。
 
第27回研究会:2024年5月28日
 
木俵 豊さん:
「情報通信研究機構(NICT)の概要とAI技術の研究開発」
けいはんな学研都市のNICTユニバーサルコミュニケーション研究所での研究者時代、研究所長時代に取り組んだ31か国音声翻訳アプリVoiceTra、テキスト翻訳アプリTexTraや同時通訳システムをデモも交えて紹介戴いた。言葉の壁の解消・低減による各国民の融和が期待される。
また、近年注目されている生成AIについても、日本語へのきめ細かい対応やB to B専門領域に特化した大規模言語モデルへの取り組みの現状を報告戴いた。少子化による労働力不足が年々深刻化する中での打開策としての期待と共に、悪用や偽情報への弊害などネガティブ面にも言及戴いた。
 
第26回研究会:2024年3月6日
 
横田泰直さん、西元善郎さん:
「等身大の中国」
西安の金属研究院でのカーボンニュートラルや核融合についての意見交換、蘭州の現代物理研究所での炭素イオンがん治療の議論を報告した。また、チベット周遊や4年ぶりの訪中で感じたサプライズを紹介。高速道、高速鉄道、5G携帯網など積極的なインフラ整備、EVの進展などポジティブ面に加え、情報統制、不動産バブルなどネガティブ面にも言及戴いた。
 
後藤寛さん
「インド 経済 文化 歴史 宗教・・・・・」
建設機械メーカーの現地法人社長として5年間の駐在を通じて、多様で複雑なインド社会を俯瞰。多言語国家、世界一の人口、GDP、物価から半導体や自動車産業で代表される経済状況、宗教、特に、ヒンズー教と日本の帝釈天、弁財天等との関り、カースト、政治、環境問題、活発な映画産業、クリケットで代表されるスポーツまで語ってもらった。
 
第25回研究会:2023年12月26日
 
住江伸吾さん:
「宇宙科学の最新の話題~銀河の進化と超大質量ブラックホールについて」
 (要旨)
ビッグバン宇宙の謎の一つに、「初期宇宙で出来たクエーサーの消滅やダウンサイジング」がある。本研究では、すばる望遠鏡やジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による観測データベースを用いて、赤方偏移、即ち、宇宙年齢に対する「星形成銀河」と「活動銀河核」の分布を分析した。結果、初期宇宙で「星形成銀河」からクェーサーなど「活動銀河核」が形成され、その後、中心付近のガス供給が減って「星形成銀河」に変化し、さらに、時間経過とともにそれらが合体してセイファート銀河など「活動銀河核」が再形成されるという仮説モデルを提案した。これにより、「クェーサーの消滅やダウンサイジング」の進化的解釈が可能となった。
(主な議論)
*ビッグバン後たった数億年の銀河が結構見つかっているが、辻褄は合うのか?
*(関連して)たった数億年で、超大質量ブラックホールは出来るものなのか?
*今回用いたジェームズウェッブ望遠鏡等の観測データは公開されているのか?
*ビッグバンありきの宇宙像は、もっともらしいが、ユニーク解と言えるか? など
 
第24回研究会:2023年9月4日
 
山口喜弘さんご講演:「地球温暖化に関する7つの視点」
 
第1の視点: 地球はどのように温暖化しているか
第2の視点: 温室効果ガス(GHG)の影響はいかに大きいか
第3の視点: 地球温暖化に関し世界の主流はどう対応しているか
第4の視点: 懐疑派は何を疑問視しているか
第5の視点: 発展途上国は何を問題視しているか
第6の視点: 日本政府と産業界はいかに対応しようとしているか
第7の視点: 鉄鋼産業はカーボンニュートラル(C/N)へどう挑戦しようとしているか
まとめ
1.ウクライナ侵攻でC/Nが足踏みする状況下、再生エネや原子力への傾斜が明確化.
2.米、中、印ともC/N政策が不確定で、世界の「2050年C/N」は困難だが、地球温暖化 の 
 影響が顕在化する限り、国際的なC/Nの潮流は不変と認識.
3.化石燃料に依存していた20世紀、 1~2$/blの原油が、現在80$/blを超える状況。
 しかし、 世界経済は再構成しながら克服。C/N政策によりエネルギー関連製品群の
 高騰は必然だが、産業発展の機会と位置付け、国際協調によって克服できると期待。
4.製鉄業のカーボンニュートラルは最大の難関であり、克服できれば世界に貢献大。
5.カーボンニュートラルへの挑戦、省エネを含む地球温暖化緩和対策に併せ、地球温暖化
 適応対策の重要性が高まると予想
 
 
第23回研究会:2023年6月7日
 カーボンニュートラルの将来の鍵を握ると期待される下記2テーマについて、最新の技術動向や業界情報も交え、講演戴き、議論しました。
 
(1) 大西隆さん:「全固体電池の技術動向」
EV本格普及の切り札と期待される全固体
電池について、液体リチウムイオン電池を
出発点として、特徴、技術課題、開発動向、製造技術動向、将来性などを解説戴いた。
 
(2) 横田泰直さん:「ITER Project Update -The Way to New Energy- 」
  核融合とは、ITERとは、から始まり、Tokamak 炉の主要構成の紹介、設定された
 スケジュールと進捗(リーク問題の発生?)、ITERの成果を踏まえた各国の
 実証機の構想、核融合ベンチャーを含む未来展望などを、現地の最新情報も交え、
 解説戴いた。 
 
第22回研究会:2023年3月6日
 生産年齢人口の急減の中で、リタイヤ人材の経験や人脈、専門性のマッチングが
 急務となっている折、既に実績をあげておられる2機関を紹介戴きました。
 
(1) 高畠和夫さん:「販路同友会の紹介」
 2016年より主宰されている(一般社団法人)「販路同友会」の概要と特徴、めざす役割に
 ついて紹介戴きました。大企業のOBを中心に130名のマスター・コーディネータを擁し、
 中小企業の売上拡大のための販路開拓、課題解決への専門家派遣などを推進中です。
 
(2) 中井康秀さん:「経営支援NPOクラブの紹介」
 200社、240名の大企業OBの人脈・知識経験を活用して、チームワークによる
 マッチングや経営支援を、国や地方公共団体などの助成金の受託も含めて推進中です。
 
第21回研究会:2022年11月30日
  (前座) 西元善郎さん
   「物事を別々の見方で説明出来て 初めて『分かった!』と思っていい」という名言を
  身近な図形や浮力、電流、光線の経路、物体の運動を題材に考察しました。
 (本題)井上憲一さん
  MRI用マグネットの(磁場)均一空間に量子ビット群を配置。マグネットを熱浴として
  量子ビット間を全結合させる装置について復習しました。併せて、最近の関連技術
  動向として、様々な量子ビット、デコヒーレンスの要因、量子誤り耐性改善などに
  ついても議論しました。
  
第20回研究会:2022年9月2日
  (1) 市川吉晴さん
  「プロセス・ルールの変遷に思うこと 」(その2)
   ~日米の半導体開発感覚の相違から~
  今回は、キーとなるEUV等露光技術の進展、7/29に開催された日米2plus2等業界の
  動きも俯瞰戴きました。
 (2)コロナ禍、ウクライナ戦下での海外渡航ご苦労談 30分
  *横田泰直さん:欧州行脚(7/9~29)
  *後藤寛さん:シンガポール出張(~9/1) 
  ~今後の海外渡航再開のご参考に~
 
第19回研究会:2022年6月20日
  市川吉晴さん 
  「プロセス・ルールの変遷に思うこと 」(その1)
  -日米の半導体開発感覚の相違から-
  テキサス・インスツルメンツ中央研究所(Dallas)、筑波研究所、ソニー、立山科学工業と
  歴任された市川さんに、半導体開発の醍醐味を語って戴きました。
 
第18回研究会:2022年3月30日
 (1) 横田 泰直さん:
  (2/4 超電導学会での講演より「超電導の半導体応用」を中心に)
  (2) 西元 善郎さん:
  (3/11ソーシャルデータサイエンス学会での講演より
  「新型コロナ流行繰返しメカニズムの数理的考察」、シンポ2022の雰囲気など)
 
第17回研究会:2021年12月22日
 (1) 小湊 健太郎さん:「チラシの裏
  (狭いスペースに走り書きした手計算で、豊かな科学の世界を味わう)
  (2) 井上 憲一さん:
  「安全・安心な廃炉シナリオに不可欠な重水希薄化プロセス」
 
第16回研究会:2021年9月28日
 (1) 池田 英生さん:「合唱コンクールにおける投票方式」
  (コロナ禍にも役立つ(?)社会的意思決定理論の身近な実践例より)
  (2) 林 征士さん:「トンネル分光概説」(原理、応用例、可能性)
   (トンネル分光なら、未知の高温超電導クーパーペアをどう考える?)
 
第15回:川田さん追悼研究会 2021年7月7日
 (1) 鎮魂曲の演奏 
  *横田 泰直さん:バッハ・無伴奏5番「サラバンド」
  *住江 伸吾さん:ヘンデル・フルートと通奏低音のためのソナタ1番「アンダンテ」
 (2)川田さんの問題提起(4月2日)
   「初歩的相対論と量子論で宇宙開闢機構をどこまで納得出来るか?」 に対して
  *井上 憲一さん:(空想科学)独善的宇宙像
  *住江 伸吾さん:初歩的相対論と量子論によるインフレーション時定数の見積り
  *西元 善郎さん:時間の可逆性(ミクロ世界)と不可逆性(マクロ世界)の折り合い
 
第14回:2021年3月17日
   *西元 善郎さん   新型コロナ・感染広がりの推定
   *井上 憲一さん   推定の妥当性の検証 
 
第12回:2020年11月26日
第13回:2020年12月18日
   *横田 泰直さん       Brief Introduction to Healthcare Market 
                                    viewed from a Medical Equipment Provider 
 
第10回:2020年2月4日
第11回:2020年8月28日
   *住江 伸吾さん  天体ボランティアが宇宙の謎と不思議を語る!
 
第9回:2019年10月7日
   *井上 憲一さん  超電導MRIによる量子コンピューティング
 
第8回:2017年9月25日  
         *寺尾 泰昭さん   量子コンピューターの現状
 
第7回:2017年7月25日
   *楢崎 博司さん  AI技術について
 
第6回:2017年6月26日
   *池田 英生さん  生産スケジューリングの安定性の研究
            (生産管理分野における相転移様の現象)
 
第5回:2017年5月30日
   *高枩 弘行さん  計測技術の最近の進展と将来課題
 
第4回:2017年4月
   *中井 康秀さん  経営支援NPOクラブからの話題
 
第3回:2017年3月22日
   *小湊 健太郎さん 室温での超電導磁石の検査への挑戦
 
第2回:2017年2月20日
   *井上 憲一さん  今さら介在物、されど介在物
   *西元 善郎さん  人の直観が間違いやすい身近な例
 
第1回:2017年1月20日
   *川田 豊さん   テラヘルツ分光法の最近の話題
   *丸山 政克さん  土木/建設現場のセンシング技術